ハートに気をつけて 表紙
アバウト佐々木|スマボン出版®︎

ハート
をつけて

— 心筋梗塞と寄り添う —
見ろよ青い空 白い雲

はじめに地獄からの生還

ある夏の日のことでした。

草刈り作業をしていた時です。

ギラギラと照りつける日差し。

刈った草の青臭い匂い。

汗でシャツはぐっしょり。

そんな中で、 何だか妙な感じになったのです。

胸のあたりに、 何とも言えない違和感。

痛い、 というほどではない。

でも、 気持ちが悪い。

嫌な感じ。

「あれ?」

とは思いました。

ですが、 その時は、 単なる熱中症だと思ったんです。

とりあえず横になれば、 何とかなるだろうと。

ところが、 横になっても、 ちっとも良くならない。

それどころか、 どんどん気分が怪しくなっていく。

胸の奥が、 変なふうに重たい。

汗も止まらない。

「これはちょっと変だぞ」

そんな空気になってきた頃、 たまたま知人がおりましてね。

その人が、 これはまずいと判断してくれた。

そして、 救急車要請と相成った訳です。

今思えば、 あの時、 一人じゃなくて本当に良かった。

救急搬送された病院での診断は、 心筋梗塞。

まさか、 自分が。

そんな感じでした。

ですが現場は、 そんな悠長な空気ではありません。

有無も言わさず、 カテーテル手術。

気が付けば、 次から次へと、 処置が進んでいく。

こちらはもう、 まな板の上の鯉です。

幸い、 処置が早かったこともあり、 何とか一命を取り留めました。

そのまま入院です。

大袈裟かもしれませんが、 気分としては、 地獄からの生還でした。

そして私は、 ぼんやりと考えたのです。

この先の余生を、 クヨクヨし過ぎず、 心臓を慈しみながら、 生きていけたらなあと。

そんなふうに、 思ってしまった次第なんです。

第一章退院後の難問

ところが、 本当の難問は、 退院後に待っていました。

主治医から言われる、 生活改善。

食養生。

塩分。

運動。

睡眠。

ストレス。

「再発には気をつけてくださいね」

そう言われるたびに、 ありがたい反面、 どこか緊張感も増していく。

何を食べればいいのか。

どこまで動いていいのか。

これは大丈夫なのか。

あれは駄目なのか。

退院したというのに、 気持ちは、 ちっとも自由じゃない。

むしろ、 以前よりも、 自分の身体を気にするようになった。

私は、 腕組みをしながら、 頭を抱える日々となりました。

生き延びたのは嬉しい。

ですが、 生き方を変えるというのは、 なかなか簡単ではありません。

第二章八種類の薬

退院後、 まず唖然としたのが、 処方薬の多さでした。

何と八種類。

朝。

夜。

薬。

薬。

また薬。

テーブルの上に並べてみると、 何だか急に、 「病人」になってしまったような気分になる。

もちろん、 命を助けてもらった訳ですから、 文句を言う筋合いではありません。

ですが正直、 薬なんて飲みたくない。

出来ることなら、 全部やめてしまいたい。

薬を飲むたびに、 「心筋梗塞になった自分」 を思い出す。

これが地味に来るんです。

ですが、 心臓は、 以前と同じではない。

だから私は、 渋々ながらも、 朝と夜、 薬を飲んでいるのです。

第三章ネットを漁る

実は私、 かなり検索しました。

血流。

食事。

心筋梗塞。

再発。

睡眠。

自律神経。

瞑想。

呼吸法。

もう、 気になるものは片っ端からです。

YouTubeも見ました。

ブログも読みました。

医師の話。

体験談。

民間療法。

健康食品。

情報はいくらでも出てくる。

ですが、 情報が増えるほど、 今度は迷いも増えていくんです。

あれも良い。

これも良い。

いや、 それは危険。

結局、 何を信じれば良いのか分からなくなる。

そして、 その「気がかり」が、 かえってストレスになる。

これでは、 本末転倒だと思いました。

そこで私は、 なるべく単純に考えることにしたんです。

そして、 自分なりに辿り着いたのが、

〈血流の改善〉

でした。

第四章血流を整える

血流。

結局、 人間、 流れが大事なのではないか。

そんなふうに思うようになりました。

血が流れる。

気が流れる。

呼吸が流れる。

心も流れる。

どこかが滞ると、 人は苦しくなる。

私はまず、 呼吸を整えることから始めました。

静かに座る。

深呼吸する。

瞑想してみる。

最初は落ち着きませんでした。

ですが、 少しずつ、 呼吸が深くなる感覚が出てきた。

これは、 案外馬鹿に出来ないなと思いました。

水も意識しました。

綺麗な水を、 ちゃんと味わって飲む。

以前は、 ガブガブ飲んで終わりでしたが、 今は少し違います。

食べ物も、 見直しました。

白いものを減らし、 黒いものを増やす。

精製されたものより、 なるべく自然なもの。

たんぱく源も考える。

そんなふうに、 少しずつ、 生活を組み替えていったんです。

ただ、 良い睡眠に関しては、 今でも課題が残っています。

これは本当に難しい。

心臓を悪くすると、 妙に鼓動が気になったりするんですよね。

夜中に目が覚めることもある。

ですが、 焦りすぎず、 付き合っていくしかないのだろうと思っています。

第五章病は気から

昔から、

「病は気から」

と言います。

若い頃は、 どこか精神論みたいに聞こえていました。

ですが、 心筋梗塞を経験してからは、 少し受け取り方が変わりました。

気がかり。

不安。

怒り。

焦り。

ストレス。

そういうものが、 じわじわと心を蝕んでいく。

そして、 やがて蔵を痛める。

私は、 そんなふうに感じるようになったんです。

身体だけ治しても、 心が休まらなければ、 人はなかなか元気になれない。

だから最近は、 なるべく心配事を増やし過ぎないよう、 気をつけています。

もちろん、 人生ですから、 色々あります。

ですが、 なるべく呼吸を浅くしない。

なるべくクヨクヨし過ぎない。

それもまた、 血流改善の一つなのかもしれません。

第六章生き急がない

今思えば、 私は、 少し生き急いでいたのかもしれません。

あれもしなければ。

これもしなければ。

もっと頑張らねば。

もっと動かねば。

そんな感じで、 ずっと走っていた気がします。

ですが、 心筋梗塞という出来事は、 ある意味、 身体からの強制停止だったのでしょう。

「少し休め」

「少し立ち止まれ」

「少し自分を大切にしろ」

そんな声だったようにも思えるのです。

もちろん、 今でも不安はあります。

再発だって怖い。

ですが、 せっかく生還したのですから。

これからは、 心臓を責めるのではなく、 心臓をいたわりながら、 生きていきたい。

そんなふうに思っています。

特別収録私が検索しまくったキーワード

などなど。

実は、 今でも調べ続けています。

LAST MESSAGE

生きているだけで、 ありがたい。

でも、 せっかくなら、 少しでも心地よく生きていたい。

心臓を責めるのではなく、 心臓をいたわりながら。

ハートに気をつけて。

ふう。

オリジナル楽曲

♪ ハートに気をつけて

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